先天性心疾患があっても飛行機に乗れる?
Twitterで見かけた質問が気になったので調べてみました。
大手航空会社で確認
JALのサイトを見ると、【航空機旅行が適さない状態】という項目があります。
先天性心疾患という記載はありませんが、心不全、チアノーゼ心疾患は当てはまる人がいるかもしれません。
適さないという表記なので、医師の診断書等があれば搭乗は可能と思われます。
この他、PaO2(動脈血酸素分圧)が約70torr未満の場合には飛行中の酸素吸入をお願いしているようです。
ANAも同じような内容でした。
https://www.ana.co.jp/share/assist/pdf/shindan.pdf
どちらの航空会社も、医療用酸素ボンベの持ち込みは可能です。
診断書の提出が必要になりますので、事前に問い合わせてみてください。
また、有料での医療用酸素ボンベの貸し出しも行っています。
こちらも併せて確認してみるといいと思います。
飛行中の機内は、地上と同じ?
飛行機は地上からおよそ1万メートルくらいの高さを飛びます。
高度1万メートルの上空は、
地上の気圧が1気圧に対して、
飛行機の外の気圧は0.25気圧。
気温は、マイナス40度~マイナス55度。
湿度は0%に近い状態です。
では、飛行中の機内はどうでしょう。
ANAのサイトで詳しく書かれていますが、
機内の気圧は0.7~0.8気圧で、富士山の5合目くらいに相当する気圧です。
離着陸の際には、集中的に気圧の変化が生じるため
航空性中耳炎を起こすことがあります。
飛行機に乗ると耳が痛くなるというアレです。
機内の酸素分圧は地上の約70~80%に低下しています。
温度は22~26度で保たれていますが、
湿度に関しては飛行時間が長くなるにつれて下がっていくそうです。
長時間の飛行になると20%以下まで下がってしまうそうです。
心疾患を持つ人は、この乾燥による脱水に注意が必要です。
気圧の変化が身体に及ぼす影響
気圧が低いと身体にどのような影響が起こるのでしょう。
自律神経が乱れる
気圧が下がると、身体に対して外からの圧が減ります。
すると、血管が膨張し浮腫みやすくなります。
これに対して、血管を収縮させようと交感神経が働きます。
(詳しくはこちら
心疾患を持つ人にとって、この交感神経の過剰な働きは心臓への負担となります。
酸素が取り込みにくくなる
気圧が下がると、空気中の酸素が少なくなります。
健康な人では気にならない程度ですが、
元々チアノーゼがあったり、血中酸素飽和度が低い人は注意が必要です。
心臓への負担だけでなく、低酸素血症となる危険があります。
そのため、航空会社でも酸素吸入をお願いしているのでしょう。
少しでも不安があれば、医師に相談。
飛行機で旅行や帰省は、とても楽しいものです。
普段とは違う環境の中で、身体がどのような反応をするか
最初は不安だと思います。
短時間の搭乗なら大丈夫なのか、
酸素吸入していれば長時間でも可能なのか、
酸素はどのくらい増やしたらよいのか、
気になる事は医師に相談して、楽しい飛行機デビューにしましょう。