心拍変動でストレスを知り、呼吸で整える
以前、紹介したサイト「はとらく」に掲載されている記事で
心臓病とストレスの関係について書かれているものがあります。
心臓とストレスの関係を考えた時に「心拍変動」について調べてみようと思いました。
ストレスとの付き合い方のお役に立てればと思います。
心拍変動とは?
「心拍変動」という言葉を聞いたことがありますか?
名前の通り、心拍が変動することを言います。
心拍が変動=不整脈のイメージですが、少し違います。
心拍は一定ではない
実は、心臓がドクンッ、ドクンッと拍動するタイミングは一定ではなく、わずかに変動しています。
これは、数ミリ秒という単位なので心電図上で確認できる程度です。
下図の大きな上向きの波形が心拍で、毎回少しずつ長さが違っています。
この変動を『心拍変動(Heart Rate Variability/HRV)』といいます。
これは、洞調律のときに見られる自発的な心周期の変動であり、期外性収縮やブロックに起因する変動や、外的な刺激に対する変動は心拍変動に含まれません。
心拍変動の代表は、呼吸性洞性不整脈です。
これに関しては、説明が長くなるので別の機会にお話したいと思います。
心拍変動でわかること
心拍変動は、自律神経活動の指標とされています。
心拍の速さ(≒心拍数)は、自律神経の交感神経と副交感神経で調整されています。
車で例えると交感神経は「アクセル」、副交感神経は「ブレーキ」です。
心拍が速くなると、副交感神経がブレーキをかけます。
同様に副交感神経により心拍が抑えられると、交感神経がアクセルをかけ活動を促します。
心拍ごとにこのような調整が行われており、微妙な変動が起きているのです。
この変動の大きさにより自律神経のバランスが取れているのかを確認できます。
特に心拍変動が大きくなるのは、副交感神経の働きと言われており
ストレスにより交感神経の働きが強くなると心拍変動は小さくなります。
このことから、心拍変動の大きさを知ることで
今、自分がストレスを感じているのか、リラックスしているのかが分かります。
心臓病との関係
心筋梗塞や冠動脈疾患、心不全患者では、心拍変動は小さくなると言われています。
これは、交感神経活動が強く心臓への負担がかかっているからだと思われます。
交感神経の過活動は、致死性不整脈の発生に密接に関係していると言われており注意が必要です。
http://j-ivfs.org/wp-content/uploads/2017/02/vol27-1.pdf
心臓病の人は、交感神経の活動が高まりやすい傾向にあります。
その為、ブレーキをかけてくれる副交感神経の活動をいかに高められるかが、ストレス対策として大切になります。
自分の心拍変動を知るには
最近は、Apple Watchでの心拍変動の計測が注目されています。
Apple Watchでなくても、心電図が測定できるデバイスがあれば、アプリで心拍変動を解析することができます。
ストレスをコントロールするには
副交感神経の働きを高めるにはどうしたらよいのでしょうか。
副交感神経はリラックスしているときに活動が高まるので、やはり家でのんびりしているのがよいのでしょうか。
ここで大切なのは、活動を高めることだけではなく交感神経との切り替えがうまくできることなのです。
その練習手段として多く用いられているのが、「呼吸法」です。
呼吸は、吸うときに交感神経が、吐くときに副交感神経が働くため、自律神経の切り替えの練習として適しているのです。
自律神経を整える呼吸法として腹式呼吸が有名ですが、ここでは心拍変動を意識した「コヒーレンス法(心臓呼吸)」を紹介します。
https://www.mental-plus.jp/pdf/coherence_guide.pdf
ハートマス研究所が推奨しているもので、心拍変動のバイオフィードバックを用いて練習していくことができるデバイスも開発されています。
心臓に意識を置く部分が、普通の呼吸法と違い個人的に気になっています。
しかし、私は呼吸が大の苦手なのです。
こういう呼吸法を実践すると、だいたい苦しくなってしまいます。
原因を自分なりに考えた結果、呼吸は意識してはいけないと分かりました。
※以下は個人的意見なので、参考程度に見てください。
「〇秒吸って、〇秒で吐く」とありますが、これに忠実に従う必要はないのです。
副交感神経を働かせるなら、吐く方に意識を集中させる程度でいいのです。
無理に吐ききろうとすると、それは強制呼気となり腹筋など多くの筋肉を使うことになります。
つまり、筋トレしている状態なので交感神経が働いてしまいます。
本来、呼吸は無意識に行われているものです。
それを意識的に変えることは、自律神経を自ら乱しにいっている気がします。
普段の自分の呼吸を知り、そこに意識を向ける。
自分の呼吸を俯瞰する。
これが呼吸練習として一番難しく、一番大切だと思います。
まとめ
心臓の負担を測る指標として血圧や心拍数がありますが、心臓へのストレスの指標として心拍変動を知ることもおもしろいと思いました。
ストレスとの付き合い方は個人差もあり難しいですが、呼吸は個人的に簡便で有効だと感じています。難しい部分でもありますが…。
心臓ともストレスとも上手に付き合っていきたいですね。