yandyandy’s diary

心臓リハビリテーション指導士から、心臓を持つすべての人へ

お手軽体操はこれ。

心疾患を持つ人も、そうでない人も運動が大事だという事は何となく理解していると思います。でも、運動って難しいと思いませんか?少なくとも私はそうです。運動を勧めている立場ですが、自分は特に何もしていません。学生時代は体育の時間というものがあって、週2回くらいは運動していました。義務教育中だけを考えても、9年間も定期的に運動をしていたにも関わらずなぜ運動習慣が身についていないのでしょうか。

 

人間の脳は楽をしたい

人間の身体、脳にはホメオスタシス(恒常性)を維持する働きがあります。

ホメオスタシスとは、生体の内部や外部の環境因子に関わらず、生体の状態を一定に保とうとする性質を言います。真夏でも真冬でも平熱が変わらないのは、このホメオスタシスによるものです。心臓に関して言えば、脱水で血液循環量が減ってきた時に、この循環量を維持する為に収縮力を高めて一回拍出量を上げたり、心拍数を増やしたりという代償機構が働きます。脳にも同じように変化を感知し、元に戻そうとする働きがあります。しかし、この働きはやはり負担がかかるものです。なので、脳は極力変化を避けるように誘導していきます。新しい情報は制限し、情報処理の労力を減らします。つまり、脳は楽をしたいのです。

 

脳にとって運動とは

では、運動は脳にとって楽できるものでしょうか。答えはNOです。運動は、身体に大きな影響を与えます。筋肉を収縮させる、酸素を取り込む、あらゆる変化にエネルギーを消費し、血流も疲労物質などの老廃物も増えていきます。この変化をまた元に戻さなければならないのです。しかし、運動による脳への良い影響も多数報告されています。確かに脳も楽ばかりしていたら、退化し何もやる気が起きなくなり人としてのQOL(生活の質)が下がってしまいます。結局、退化しないためには運動による刺激が必要なのです。

 

それでもやっぱり楽をしたい

楽をしたいというと語弊があるので、「現状維持をしたい」。しかし、運動しないと現状維持すら出来ないのです。では、なにをしますか?ウォーキング、自転車、ヨガ、水泳、ジョギング、ピラティス・・・世の中には運動が溢れています。習おうと思えば動画ですぐ教えてもらえます。ですが、先ほども言ったように脳は新しい情報を処理するのが大変です。何かを始めるときは、自分の人生で経験した事があるものを選びましょう。そして、すぐに出来るものがおすすめです。服装や場所を準備する事も、脳にとっては新しい事ですので途中で「やーめた」となる可能性があります。ちなみに、頻度は週2~3回程度が推奨されていますが、脳の事を考えると毎日やった方が良いでしょう。毎日やる事で、脳に記憶されやすく情報処理に労力を使わなくなります。いわゆるルーティン化される事が運動習慣には必要なので、まず毎日続けられるものを探しましょう。そして、気が向いたら週に1回程度しっかり汗をかく運動をしましょう。

 

おすすめはラジオ体操!

小学生の頃、夏休みになると毎朝ラジオ体操に通う。誰もが一度は経験があるのではないでしょうか。ラジオ体操には第一と第二があり、第二は青壮年向けに後から作られたようです。一般的に知られているのは第一だと思うので、そちらについてまとめてみました。

歴史

1928年(昭和3年)、簡易保険局(今のかんぽ生命)を中心に制定されました。アメリカでは1923年(大正12年)にラジオ放送による健康体操が、こちらもやはり保険会社によって行われていたようです。

目的

国民の健康増進、日本人の体格向上など

コンセプト

「老若男女問わず」

「誰にでも平易にできる」

「内でも外でも、いかなる場所でもできる」

「多少趣味的な」

時間

3分11秒

運動強度

4.0METs

(座位 2.8METs)

内容

音楽と声に合わせて行う全身運動です。基本的には立って行いますが、座って行っても構いません。

 

まとめ

日本人にとって馴染み深いラジオ体操。子どもの頃は、なんか格好悪いと思っていましたが、今となってはなんてありがたい運動なんだろうと積極的にやっています。比較的、上半身の動きが大きいので座ってやってもいい運動になりますが、その際には別で下肢の運動やストレッチを追加する事をお勧めします。4.0METsで3分程度なので、心疾患を持っていても入浴が可能な方であれば運動可能と思われます。シャワーのみ可の人、階段を制限されている人は座って行った方が良いと思います。課題としては、動きが速いので音楽に合わせてしっかり動かそうとすると筋肉を傷める危険性はあります。多少音楽に遅れてもいいので、しっかり動かすようにしましょう。